木造耐震に免震・制震の技術。人の命を守る製品ばかりです。 仕口ダンパー 荒壁パネル 耐震リング アンデン東京Facebook

仕口ダンパー概要

仕口ダンパーとは

仕口ダンパーの目的・効果

仕口(しくち)とは、柱と梁(はり)の交点を指す専門用語で、この部分の強さが軸組工法による木造建築の耐震性能を左右します。
しかし、仕口をあまりに強固に固定しすぎると、逆に柱や梁を傷めることにもなってしまいます。揺れのエネルギーをいかに吸収するかが大事です。
仕口ダンパーは柱の変形角に追随しながら地震の揺れのエネルギーをしなやかに吸収する機能を持たせた装置であり、木造の耐震補強・耐震リフォームに貢献します。

仕口ダンパーの構造・しくみ

「仕口ダンパー」は、2枚の折り曲げた鋼板の間に高分子材料(ジエン系)の粘弾性体を使用したダンパーで、粘弾性体をエネルギー吸収の主材料とした画期的な装置です。
木造軸組構法建物の柱・梁の仕口部に仕口ダンパーを取り付け、仕口部の補強(剛性付与)および建物全体の耐震性(減衰性能付与)を向上させます。軽量、コンパクトで、木ネジで簡単に取り付けられます。

仕口ダンパー15cmタイプ構造図
仕口ダンパー15cmタイプ構造図
1辺約15cmの2枚の折り曲げた鋼板(ステンレス鋼)の間に粘弾性体を特殊技術で接着したもので、分解すると上図のようになります。粘弾性体はエネルギー吸収性能の高い高分子材料で、耐久性その他の性質につき厳しい試験に合格したものを使っています。

変形する仕口ダンパー(15cmタイプ )
変形する仕口ダンパー(15cmタイプ)

仕口ダンパーの製品仕様
タイプ   15cm 20cm 30cm
粘弾性体 種類 ジエン系
  厚さ 2.0mm 3.0mm 5.0mm
鋼板 種類 ステンレス鋼板(SUS304)
  厚さ 2.0mm 3.0mm 5.0mm
製品質量   約1.3kg 約1.6kg 約7.0kg
備考   (専用ビス付属) (専用ビス付属) (専用ビス付属)

 

仕口ダンパーの特徴

1.建物の倒壊を防止します
新築と改修を問わず木造軸組工法であれば個人住宅から神社仏閣まで幅広い用途に適しています。地震時の建物変形を小さくして、揺れを早く止めます。耐震性能(耐力や変形抑制効果)が格段に向上します。
2.補強工事のコストを低減します
通常の住宅では、仕口ダンパー15cmタイプを延べ面積に対し「坪あたり1個程度の割合」で取り付けます。取り付けに伴う改修費も安価です。
3.メンテナンス不要です
一度取り付けると日常の手入れは不要です。仕口ダンパーは60年経過しても特性の変化が少なく、構造物の耐用年数に対して問題ないことが確認されています。
4.軽量で取り付けが簡単、施工性に優れています
仕口ダンパー15cmタイプ1個の重さは1kg余り.。付属の専用ビスで取り付けるだけでOKです。住宅1軒分でも半日から2日あれば取り付け作業が完了します。
5.目標に合わせて簡便な方法で補強計画を検討できます
耐震補強の効果を定量的に評価できる設計法・解析手法(限界耐力計算)が整備されており、所有者の要望に合わせて補強量を検討することができます。
6 技術性能証明を取得しています
(財)日本建築センターおよび(財)日本建築総合試験所の両機関より、仕口ダンパーの持つ性能が証明されています。

 

仕口ダンパー15cmタイプ
仕口ダンパー15cmタイプ
軽量・コンパクト・高性能専用ビス付属なので施工性に優れています。

仕口ダンパー15cmタイプ (財)日本建築センター発行 建築技術審査証明書
(財)日本建築総合試験所発行
建築技術性能証明書
(財)日本建築センター発行
建築技術審査証明書


木造建築を地震から守る仕口ダンパー

木造建築と地震被害(阪神大震災)

木造住宅は柱・梁隅角部(仕口部)の変形が大きく、写真のように阪神大震災では仕口部の変形が大きくなって建物の倒壊や傾く等の被害が出ました。

阪神・淡路大震災と歴史的構造物 思想閣出版
出典:阪神・淡路大震災調査報告書日本建築学会 阪神・淡路大震災と歴史的構造物 思想閣出版

仕口ダンパーの取付

補強のイメージ
補強のイメージ

柱・梁仕口部に仕口ダンパーを取り付け、仕口部に一定の剛性と減衰性を与えることで、地震力を建物全体に分散させると共に、建物の構造減衰を増加させ、耐震性能を向上させます。
粘弾性ダンパーは、小振幅から大振幅まで安定したエネルギー吸収能力を持つため、地震荷重に対してだけでなく、風荷重に対しても効果を発揮します。仕口ダンパーを取り付けることによって中小の地震で1〜2割程度、大地震では2〜5割程度建物の変形を小さくできます。

他工法との比較

木造軸組補強法として、制震技術を取り入れたものでは最も早く開発・実用されました。従来から多用されてきた緊結金物や耐力壁と併用、または、それ以外の補強方法として注目されており、従来工法と比較して大きな地震になるほど粘り強さ(耐震効果)を発揮します。
また、仕口ダンパーは軽量、コンパクトで天井裏等の省スペースに設置できますので、施工性に優れ、改修費も安い利点があります。
仕口ダンパーは、一度取り付けると日常のメンテナンスは不要です。性能は50年以上持続することが認められています。
なお、仕口ダンパーは、仕口部に取り付けて効果が発揮できるため、開放壁として在来建物、新築を問わず使用できる特長もあります。

仕口ダンパーの設計

仕口ダンパーを用いて建物を構造設計する場合、専門家により検討を行うことが重要となります。検討方法には「簡易法」、「壁量換算法」、「限界耐力計算法」があり、後者ほど詳細な検討法となります。設計者はユーザーの要望や必要に応じて検討方法を選択します。検討結果および仕口ダンパーの補強数量・配置は下図のような補強位置図で表されます。施工者は補強位置図と施工要領書に従って、仕口ダンパーの取付を行います。

1.簡易法 仕口ダンパー15cmタイプを1坪当たり1個程度の割合でバランスよく建物に取付けます。延床面積が40坪の建物ならばおよそ合計40個取付けます。
2.壁量換算法 仕口ダンパー15cmタイプ1個当たり壁量を25cmに。また、壁強さとしては1個当たり0.5knに相当します。
3.限界耐力計算 仕口ダンパーによる補強前後の耐震性能を定量的に評価し、地震規模と建物特性に応じた損傷度合を推定します。壁量規定などの建築基準法における仕様規定を満足しない場合でも性能規定型の設計法として用いることができます。ユーザーの希望する間取りを実現したり、社寺建築や伝統構法の建物に有効な検証法で、仕口ダンパーを用いる場合もっとも合理的な設計法です。

※新築の場合、現行法(2010.6月現在)では建築基準法の壁量規定を仕口ダンパー以外で満たすことが必要です。

仕口ダンパーの施工例

仕口ダンパーは15cmタイプ、20cmタイプ、30cmタイプの3種類があります。既存の標準的な木造住宅には15cmタイプを用います。20cmタイプは新築住宅用、30cmタイプは社寺建築用です。
施工は、財団法人日本建築センター審査証明を取得した標準施工要領書に従って行います。
仕口ダンパーは、2001年9月の販売開始以来2008年12月末に至るまで、約7.4万個、棟数で3,198棟を超える全国の住宅や社寺建築などに取付られています。(日本建築センター集計資料)

実施例 1 <木造住宅の耐震改修>

本建物は2階建て (延床面積138m2=42坪),築後20年の木造住宅です。(大阪府)
耐震性能を構造計算で確認後に補強設計を行って、天井裏や床下等に合計44個の仕口ダンパー15cmタイプを取付けました。

木造住宅の耐震改修 建物外観
建物外観

天井裏の仕口ダンパー 天井裏の仕口ダンパー
天井裏の仕口ダンパー 床下の仕口ダンパー

実施例 2 <寺院の耐震改修>

本寺院は平屋建て (延床面積174m2=53坪),の寺院です。(東京都)
限界耐力計算で補強設計を行って、床下に仕口ダンパー30cmタイプを31個、20cmタイプを41個取付けました。
限界耐力計算は社寺建築や伝統構法の建物に有効な検証法で、仕口ダンパーを用いる場合もっとも合理的な設計法です。

寺院の耐震改修 寺院全景
寺院全景


ページトップへ